CGNの活動の中心は、植樹活動です。山火事などによって森林破壊が進んでしまった水源などの共有地に、地域の人とともに植生にあった樹種を中心に植栽し森林再生を行っています。苗木作りから指導し、事業が終わった後も村の人が自分たちで森作りを継続していけるようにしています。
また、国際的なタバコ会社「PMPMCI」のフィリピン本社のCSR活動のパートナーとして、北ルソンのタバコ栽培農家とともに2019年まで大規模な植林事業を11年にわたって行い、毎年100万本の苗木を植えてきました。
コーディリエラ山岳地方における森林破壊の大きな原因は森林の野菜畑への転換です。生計手段のない先住民たちは、わずかな現金を得るために森を燃やし、高原野菜の畑に転換せざるをえません。CGNでは先住民族たちが森を守りながら生計手段を得られるように、アグロフォレストリー(森林農法)の指導をしています。果樹、カカオ、コーヒーなど収穫物を販売できる樹種とその他の木を混栽し、木々の下には、ショウガ、サトイモ、サツマイモなどの作物を植え、森から複合的に収入を得られるようにするというものです。
特に標高の高い地域では、アラビカ・コーヒーの栽培に適しており、多くのコミュニティでアラビカ・コーヒーを中心としたアグロフォレストリーの技術指導と苗木の支給を行っています。
CGNのアグロフォレストリー事業のリストはこちら➡
■2010年10月~2020年3月
■神奈川国際交流財団 助成(2010年~2012年)/ WE21コーヒーの森連絡会(2013年~2020年)
2009年の大型台風ペペンの襲来で村の真ん中で大規模な土砂崩れが起き、たくさんの家屋や畑が流されたベンゲット州トゥブライ町のコロス集落で、日本のNPO法人「WE21ジャパン」とともに長期の復興事業を立ち上げました。
コロス集落の人々は、もともと近隣の鉱山会社で雇用されていましたが、閉山後、砂金採りなどにたよる安定しない暮らしをしていました。また、無理な鉱山開発により、土砂崩落や水不足などの問題を抱え、住民の暮らしはたいへん厳しいものでした。
WE21ジャパンとCGNは、長期の復興事業としてコーヒーのアグロフォレストリーによる栽培を中心とした事業を立ち上げました。苗場作り、堆肥づくり、木酢液作りなど、持続可能な農業技術の指導を繰り返し行い、コーヒーと同時に生計手段として有機野菜の栽培を指導しています。さらに、コミュニティ全体で環境保全に対する意識を高めるために、小学校や幼稚園、保育園で環境教育ワークショップなども行いました。
事業開始時に植樹した苗木は収穫期を迎えてからは、収獲したコーヒーの実の加工方法に関するトレーニングも開始しました。念願の販売も開始され、コミュニティの人々は、持続可能な生計手段による自立に向けて歩み始めています。2016年度からは事業地を隣町のタベヨ集落にも拡大しました。
■2017年7月ー2018年6月
■公益社団法人 国土緑化推進機構 緑の募金事業 /NPO法人平和環境もやいネット
ルソン島北部山岳地方のベンゲット州カパンガン町サグボ村の、サヨテ(はやとうり)栽培拡張のために森林破壊が著しい地域において、原生林の保全、荒廃地の緑化、住民の生計手段確保を目的とした植樹を、NPO法人平和環境もやいネットと事業地の住民組織TSFAをパートナーとして実施しましました(2017年7月~2018年 6月)。
植樹したのは、1,500本のアルヌス(ハンノキ)、1,500本のカリエンドラ(オオベニゴウカン)、3,000本のトゥアイ(アカギ=赤木)、7,200本のアラビカ・コーヒーの計13,200本の苗木です。
また、受益者を対象に植樹や環境保全に関する知識を伝えるための講習会を3回開催しました。テーマは①コーヒーの植樹と栽培方法と植樹地管理 ②気候変動時代に必要な森林農法(アグロフォレストリー)③環境負荷の少ない持続可能な農業。
さらに、事業終了後にも自助努力により苗木育成と植樹が継続できるように苗場の造成と苗木育成指導をサグボ村内3か所で実施しています。育成中の苗木はアルノス6,000本、アラビカ・コーヒー6,000本の12000本で、各苗場に2,000本ずつ計4,000本を育苗中しました。
■2014年4月~2017年3月
トゥブライ町環境自然資源課MENRO、アンボンドラン村住民による環境保全団体CAREとともに、アンボンドラン村の水源林に在来種と、アグロフォレストリーによるコーヒー栽培を行いました。コーヒーの苗木は,CAREメンバーのうち個人所有地に栽培の意思のある者にも配布し、住民の生計手段として栽培指導を行いました。
植樹した苗木は、2104年度29,633本(ナラ8,973本、ベンゲット松7986本、アルノス3541本、アラビカ・コーヒー9163本)。2015年度は19,230本(カリエンドラ3100本、アルヌス2400本、ベンゲット松2500本、竹400本、アラビカ・コーヒー10,830本)。住民の関心は非常に高く、CAREへの加入希望者は事業開始時点より増加し、事業終了時には54家族となりました。住民たちは共有水源林における植林ボランティアにも積極的に参加しました。またコミュニティからCGNに1ヘクタールの水源林の管理を委託され、事業終了後も水源管理に関わっています。CGNのインターンや植林ボランティア、植林ツアー参加者も、植林ツアーなどで数多く植林に参加してます。
■2019年4月~2020年3月
2006年まで4年間行ったサグパット村での植林事業が15年近くたってどのような成果が表れているかと生態系調査を専門家と行うとともに、新たにアラビカコーヒーを主な樹種としたアグロフォレストリーによる植樹を行うことを目的とした事業でした。
サグパット村のコミュニティ共有林、水源地、2つの小学校敷地、コミュニティの新たなアグロフォレストリー・モデル農園に コーヒー1,415本、トゥアイ1,630本、マラ・ティビッグ150本、アルヌスの600本の計3,795本の植樹を行いました。植樹活動にはサグパット村役員、サグパッドの村人たち、小学校の生徒たち、ベンゲット州国立大学学生ボランティア15名、事業地側のパートナー団体であるサグパット農家組合SFACメンバー、森林官、申請団体スタッフとボランティアなどが参加しました。
また、SFACメンバー23名に計9,465本の苗木を配布し、それぞれの個人の土地に植樹されました。苗木の内訳はアラビカ・コーヒー5,695本、トゥアイ2,370本、アルヌス1,400本の合計9465本です。
また、事業ではベンゲット州国立大学(BSU)森林学部の学生とともに、コーヒーを森林農法によって栽培している12の農園(サグパッド村9、隣接するポブラシオン村3)のうち11の農園の植生調査を実施しました。学生たちはグループに分かれ、対象の農園で10-20㎡のエリアを2-3か所選び、そこに生えている植物を記録しました。
2019年12月には日本のNPO法人バードリサーチの神山和夫氏とCenter for Conservation Innovation Philippines Inc.のJennica Masiganを講師に招き、アグロフォレストリーによるコーヒー栽培地で野鳥観察講習会&ワークショップを行い、参加者のSFACメンバーにそれぞれの農園での野鳥観察をお願いしました。
一言で森林農法によるコーヒーの植樹地といっても、アルヌス、カリエンドラなどのシェイドツリーとコーヒーだけの栽培地、原生林の残る森、サヨテ栽培の棚の下などがあり、それぞれの条件によって植生や観察される生物にも違いがあることが分かりました。さらなる調査の基礎となる貴重なリサーチとなりました。
植樹はSFACメンバーが継続して行っていけるように、苗場の造成も行いました。
ベンゲット州キブンガン町
ベンゲット州カパンガン町
ベンゲット州トゥブライ町
ベンゲット州トゥバ町
ベンゲット州ブギアス町
ベンゲット州カバヤン町
カリンガ州タブック町
イフガオ州フンドアン町
イフガオ州マヨヤオ町
マウンテン州バーリグ町
マウンテン州タジャン町カヤン村
アパヤオ州コナー町
アパヤオ州ルナ町
ラ・ウニオン州
イロコス・スール州
イロコス・ノルテ州